“怪演女優”松本まりか、「声」を武器に35歳で本格ブレイクへ
顔より“声”が求められる現代、培ってきた演技スキルで「甘い声」が武器に
そんな松本が、30代半ばで“ハマった”のが、クセが強い登場キャラクターの役だった。その理由について、木村隆志氏はこう分析する。
「松本さんの魅力の1つは声。甘い感じの声ではありますが、童顔で可愛らしい松本さんの顔にとても合っています。クセの強い役と相まって、もしかすると最初は少々鼻につくと感じる人もいるかもしれませんが、演技がしっかりしているので声を武器に演技でさらに存在感を示すことができているのではないでしょうか。もう1つの魅力は、瞬発力。さまざまなタイプの作品に出演しキャリアを積んできていらっしゃるので、(クセ者の役などで)喜怒哀楽の感情をパッと出すことができるのでしょう」(木村氏)
クセ者役ばかりを演じることのメリット・デメリット
怪演によってブレイクポイントを迎えた松本だが、クセ者ばかりを演じることに関して、何かリスクはないのだろうか。
「近年は、可処分時間の獲得競争が激化しています。スマホやタブレットでドラマや映画などのコンテンツを楽しんだり、何か作業をしながら“ながら観”する人も増えています。そのため、テレビドラマ業界としては、どこかエキセントリックさやインパクトを作中に求める傾向があります。強烈なキャラクターや展開があれば、ながら観をしている人の注意を引きつけられるほか、放送中から放送後にSNSやネットで話題に取り上げられやすくなり、その後の視聴につながる可能性があるからです。
松本さんにクセの強い役のオファーが続いているのも、そういったことが影響しています。あまりにヒールな役ばかりが続くと、本人のモチベーションが下がってしまう可能性もありますが、ヒール役というのは主役の次においしい立ち位置の役。いまはヒール役でもなんでも露出を増やしていくことが大切だと思います。松本さんはヒールな役でも毎回いろんなアプローチでインパクトを残しているので、いまは怪演女優などと注目を集めていますが、役の幅が広がっていけばすぐにそのイメージは払拭されるでしょう」(木村氏)
未知数の伸びしろがある松本、歳を重ねることで魅力が増していく
松本は11月8日、15年ぶりとなる写真集『月刊松本まりか 汀』(小学館)を発売。その発売記念イベント(9日)で松本は、日の目を見るまでの日々を振り返って涙しながら、「35歳の今、やっとスタート地点に立てた」と語り、今後のさらなる飛躍を誓った。さまざまなキャリアを積んできた彼女が、今後どのような女優へと進化していくのか、楽しみだ。