フジ・大多亮氏×脚本家・古沢良太氏、日本映像コンテンツの世界進出に向けてなにをすべきか
脚本を執筆するうえでは日本も海外も変わらない(古沢良太)
古沢良太そのときはまだ映画版の脚本は何も書けていなかったのですが、海外を舞台にすることだけは決まっていました。そんななか、香港に足を運んだのをきっかけに詐欺師が活躍する舞台として、香港という街に魅力を感じました。
大多亮海外展開を見据えた映像企画そのものが、脚本家のマインドとしてありそうでなかった新しいものです。先鋭的な考えを持つ古沢さんだからこそ実現した話だと思います。
古沢良太正直なところ、日中韓同時製作企画については単純におもしろいと思ったことが大きいです。
長谷川朋子中国版の製作は、センサーシップの問題などもあり、苦労された点もあったかと思います。韓国版は公共放送局のKBSが出資するスタジオ・インビクタスが手がけるようですが、現在、中国版、韓国版の進捗状況はいかがですか?
長谷川朋子海外でリメイクされることよって、国境を越えて広く観られることになりますが、ローカライズによって変更されることも多々あります。それについては肯定的に捉えていらっしゃるのですか?
古沢良太脚本を書いて渡した時点で、別のものが出来上がると基本的に思っていますから、日本でも海外でも変わらない感覚です。
欧米で定着しているスタイルで次のステージに進むべき(大多亮)
古沢良太他の脚本家の方も、もっと海外展開に積極的になってもいいのではないかと思っています。僕はイチローと同じ年齢ですが、10〜20代の頃から海外進出する同世代をうらやましく見ていたことが影響しているのかもしれません。同じ意志を持つ仲間を増やしたいという想いもあります。海外ドラマを観ていて、日本とは違う環境のスタッフや才能に脚本を渡すことで、自分の想像以上のものが仕上がることに興味も抱きます。僕の憧れは『シャーロック・ホームズ』なのですが、魅力的なキャラクターを生み出したいといつも思っているんです。後世にまで残り、いろいろな国のいろいろな俳優が演じてくれることが理想。そんなことが根底にあります。
古沢良太1年通しのドラマにも挑戦したいと思っています。
大多亮古沢さんはおひとりで書かれるスタイル。今後、欧米では定着している分業スタイルの「ライターズルーム」をお持ちになることで、半年や1年かけてドラマも手がけることが現実的になるのでは。おひとりで書くとなると、準備に相当な時間もかかりますから、これまで日本にはなかった体制を作ることによって、世界にも打って出ることができる。次のステージに進むべきだと個人的に思います。