あいみょん、ストリーミングからブレイクした初のアーティストが音楽シーンに示した存在感

 あいみょんの「今夜このまま」と「マリーゴールド」が今週からスターとしたオリコン週間ストリーミングランキングで1位、2位にランクイン。若い世代に絶大な人気を誇る、ストリーミングからブレイクした初のアーティストがその存在感を示した。

週間ストリーミングランキング1、2位独占 TOP10内に4曲

 今週からオリコン週間ストリーミングランキングがスタートし、あいみょんの「今夜このまま」が153.9万ST、「マリーゴールド」が85.3万STを記録し、1位、2位を独占した。そのほかにも、「君はロックを聴かない」が69.9万STで5位、「愛を伝えたいだとか」が66.4万STで8位とTOP10内に4作をランクイン。さらに、「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」が38.7万STで23位、「生きていたんだよな」が27.8万STで37位、「ふたりの世界」が26.2万STで42位、「満月の夜なら」が24.8万STで47位と、TOP50内には8作をランクインさせ、ストリーミングランキングを席巻した。

 シンガー・ソングライターのあいみょんは、高校卒業後にはじめた自作曲のYouTubeへの配信から注目を集め、16年11月にワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビューした。当初からYouTube世代の若年層の知名度は高く、センセーショナルな世界観の楽曲は感受性の豊かな同層から高い支持を受けていた。

 そこから、カルチャー誌やファッション誌などに登場することで10〜20代を中心に音楽ファン以外にも認知を広げると同時に、SpotifyやLINE MUSIC、AWAをはじめストリーミング系音楽配信サービスに積極的に楽曲を開放。Apple Musicではロングテイルとなり、Spotifyではネクストブレイクアーティストに選出されるなど、瞬く間に人気を拡大していった。

“お茶の間”に認知が広がった第2ステージへのステップアップ

  • 「マリーゴールド」

    「マリーゴールド」

 そんなあいみょんが一般層へ広く知られるようになったのは、「マリーゴールド」がきっかけだ。1stシングル「生きていたんだよな」が深夜ドラマ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』(テレビ東京系)のOPテーマとなっていた下地はあるが、同作がストリーミングとダウンロードの先行配信で若い世代の間で話題になると、それまでにも出演していたテレビ朝日系『ミュージックステーション』のほか、日本テレビ系『スッキリ』への生出演での歌唱などのメディア露出によって“お茶の間”に認知が広がり、ファン層を幅広い世代へと拡大。第2ステージへのステップアップとなった。続く「今夜このまま」は、新垣結衣と松田龍平が主演する野木亜紀子氏脚本の10月期ドラマ『獣になれない私たち』主題歌に起用され、さらに年末の『第69回NHK紅白歌合戦』への出演と一気にメジャーシーンを駆け上がった。

 こうしたあいみょんの軌跡を振り返ると、ストリーミングから頭角を現し、若年層だけにとどまらず、よりファン層を広げてきていることがわかる。あいみょんはストリーミングからブレイクした初めてのアーティストといえるだろう。

 これまで各サブスク配信サービスのランキングで上位を推移していたが、それらを合算するオリコンストリーミングランキングにより、改めて若い世代に絶大な支持を受ける、あいみょんの今の音楽シーンにおける存在感の大きさが示された形になる。

来年2月リリースのアルバムが試金石

  • 「今夜このまま」

    「今夜このまま」

 しかしその一方で、フィジカルの売上を見ると、もっとも売上枚数の多い「マリーゴールド」で1.0万枚と、10万を超えるDL数と比較して大きな差が生じている。彼女自身は、デジタルの売上だけで満足しているわけではなく、自らを「CD世代」と語り、フィジカルを売ることにこだわりを持っている。

 来年2月には2ndアルバム『瞬間的シックスセンス』が発売されるが、ストリーミングで実績を積み上げてきたなかで、まさに満を持してのリリースとなり、ストリーミングからフィジカルの売上へどうつなげていくかという試金石になる。また、それは同時に、フィジカルとデジタルの国内における今後の方向性を映す結果にもなるだろう。
 あいみょんの来年の動向が、今から注目される。

提供元: コンフィデンス

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