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鈴木大地スポーツ庁長官インタビュー「スポーツと音楽は一体として考えるべき」

アリーナ新設・建替え計画地図

五輪はスポーツと音楽が同じくらい大切なコンテンツになっている

――特に音楽は、スポーツイベントにとって今や欠かせない存在になっています。
鈴木大地いろいろなスポーツ競技を観に行きますけれど、音楽なしで競技は成り立たないと感じています。バスケットボールではピリオドの間に、野球やサッカーも入場前に音楽で観客を盛り上げます。他にも水泳は、各場面に作曲家がいて、レース前には「ドキンドキン」という音で観客の緊張感を煽り、表彰式では晴れがましい音楽で感動的なムードにするなど、音楽によって、選手だけでなく観客も感情移入できる空気をつくります。
 実際、真剣勝負をしている時間というのは意外に限られており、いかに観客の皆さんが楽しく過ごせるかは、音楽などの演出にかかっています。そういう意味からも、音楽とスポーツを別々に考えるのではなく、一体化して考えるべきだと思います。

――音楽を、スポーツと同じコンテンツとして、イベントなどを考えるべきでしょうか。
鈴木大地現在、音楽は試合の間や直前など、スポーツに付随した形で行われていますが、もっと同等のコンテンツとして捉えていくことができるのではないでしょうか。例えば、試合終了後は、通常は何もなく帰るだけですが、音楽ライブがあるとどうでしょう。観客はスポーツを観た後の熱を持ったまま、音楽ライブを楽しむことができます。スポーツだけでなく、音楽でも観客を満足させるコンテンツがあれば、観客の会場を去る時間の分散化を促し、混雑の緩和にも効果を発揮するでしょう。
 実は、このようにスポーツと音楽をうまく取り扱っているイベントが五輪・パラ五輪での開会式や閉会式です。ここでは、スポーツと音楽が同じくらい大切なコンテンツとなっています。式自体は選手が入場するだけですが、「開会式に出たい」と選手みんなが言いますよね。この時に観たいものは、スポーツよりも音楽やエンタテインメントがメイン。ロンドン大会では、ポール・マッカートニーがステージに登場して盛り上げるなど、スポーツの場における音楽の祭典になっていました。これは、あらゆるスポーツイベントで参考にできるのではないでしょうか。

日本のスポーツ界に改革を起こしていきたい

――音楽とスポーツがスタジアム・アリーナを使って盛り上げていくには何が必要なのでしょうか。
鈴木大地音楽では特に大きな用具や器具を搬入・搬出しますから、設計段階から音楽業界とスポーツ業界が意見を出すことが必要です。お互いが納得する、使い勝手のいい施設は、稼働率も自然と上がるでしょう。
 また、車いす席に関しても、五輪のときに会場に求められる座席数は総座席数のうち0.75%で、パラ五輪では1〜1.2%です。非常に高く思えますが、逆に考えると、この基準をクリアすれば、大体のイベントはクリアできるということ。今後、高齢者の方も増えることを見据えると、これは必然となる数字でしょう。いま、みんなが観戦できる体制を整えておけば、時間は経っても使いやすい会場になると思います。

――最後に、東京五輪・パラ五輪、さらにその先の日本のスポーツを取り巻く環境づくりについて意気込みをお聞かせください。
鈴木大地この数年は、スポーツに興味関心が集まる、またとない機会ですから、まずはスポーツを好きになってもらい、「する・みる・ささえる」という、スポーツ参画人口をどんどん増やしていきたい。そのためには、今の「FUN+WALK PROJECT」やスタジアム・アリーナ建設のお話に繋がりますが、いろいろな業界の人たちと融合させながらスポーツを盛り上げていくことが大切です。スポーツ庁としては、この東京五輪・パラ五輪を契機に、日本のスポーツ界に改革を起こしていきたいと思っています。
Profile/鈴木大地(すずき だいち)
1967年3月10日生まれ。競泳選手として1984年ロサンゼルス、1988年ソウルの両五輪に出場。ソウル五輪では男子100mメートル背泳ぎで、日本競泳界に16年ぶりの金メダルをもたらした。順天堂大学大学院を卒業後、米コロラド大学ホルダー校客員研究員、ハーバード大学のゲストコーチなどで留学を経験。2007年には順天堂大学で医学博士号を取得し、2013年同大学教授。同年には日本水泳連盟会長、日本オリンピック委員会理事に就任。2015年10月より現職。また、2016年10月にはアジア水泳連盟副会長、2017年7月には国際水泳連盟理事にそれぞれ選任された。

提供元: コンフィデンス

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