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テレビかラジオか?! 本編をまるで無視した『コンフィデンスマンJP』の副音声が話題

 長澤まさみが、11年ぶりに月9ドラマに出演したCX系『コンフィデンスマンJP』は、個性豊かなキャラクターが注目を集める一方、ドラマの主音声を食うラジオ仕立ての副音声が話題となっている。18年4月期ドラマでは、『おっさんずラブ』(EX系)でも副音声企画が行われ、ドラマでの副音声が定着してなか、何が違うのだろうか。

フジテレビドラマのお家芸となりつつある斬新な副音声

 『コンフィデンスマンJP』は、信用詐欺師のダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)が毎回さまざまな業界の華やかな世界を舞台に、壮大で奇想天外な計画で、欲望にまみれた人間たちから大金をだましとるコメディドラマ。「オリコンドラマバリュー」の18年4月期ドラマの5月15日〜5月21日放送分の調査では、第6話が93Ptを獲得。初回の満足度は54Ptだったが、2話目以降、72Pt(2話)→76Pt(3話)→76Pt(4話)→93Pt(5話)→84Pt(6話)→93Pt(7話)と話数を重ねるごとに、右肩上がりで推移。個性豊かな登場キャラの魅力やテンポの良い物語の展開が視聴者に受ける一方、注目は「副音声が気になって観る」(30代女性/北海道)という視聴者が増えているようだ。五十嵐役を演じる小手伸也が、ホストとしてMCを務める副音声企画『五十嵐のスウィートルーム』が、同ドラマの高評価に一役買っている。

 副音声は、主音声の日本語に対して、英語など外国語で聞きたい場合の二か国語や、障害者向けのサービスとしての解説などを目的に使用され、従来はあくまでも放送の補完サービスとして捉えられていた。ところが近年では、『NHK紅白歌合戦』やスポーツ中継、ドラマなどでの副音声が話題になることが増え、SNSでバズを起こす起爆剤としての要素が強くなるなど、“副音声のエンタテインメント化”が目立ってきている。放送業界で活躍するジャーナリストの長谷川朋子氏は「出演者の理解、協力が必要になってくると思いますが、テレビ離れが叫ばれるなか、いろいろな手法でドラマを楽しんでもらう工夫が求められています」と昨今の視聴環境の変化を挙げる。“副音声”は、「リアルタイム視聴」を促す策の1つであり、パッケージ発売時の特典映像などで使用するコンテンツとしてスタンダード化されている。

 『コンフィデンスマンJP』以外でもフジテレビでは、「悪魔の心の声解説」でのブラック副音声が話題となった『ファースト・クラス』(14年4月期)や、野村周平のはっちゃけトークで女性を惹きつけた『恋仲』(15年7月期)、ドラマの展開に合わせて本音トークをさく裂させた「真夏の激アツ副音声」が受けた『好きな人がいること』(16年7月期)など、主音声を上回る勢いの人気を得ていた。前述の長谷川氏は「フジテレビでは月9などの副音声企画が定着しており、SNSでの連動企画など、本編以外の仕掛けにも積極的。出演者の協力を得て、多角的に1つのドラマを盛り上げ、視聴者に楽しんでもらおうという狙いがあります」とファンを囲い込む1つの施策だという。

テレビかラジオか?! 主音声での本編を一切無視した副音声

 『コンフィデンスマンJP』では、第4話より副音声企画を実施。実はドラマスタート時には副音声での放送を予定していなかった。草ヶ谷大輔プロデューサーは「今は、スマホやオンデマンド配信など、ドラマの観られ方や楽しみ方も多様化しています。副音声でリアルタイム視聴して、録画で本編を観る、その逆もあります。主音声と副音声をコンテンツとして切り分けて楽しんでもらい、なるべくドラマの接触回数を増やしたいという思いから取り入れました」と経緯を語る。

 その上で注目なのは、副音声が番組とはまったく関係のないラジオ番組を聞いているような作りになっていること。五十嵐役を演じる小手伸也がパーソナリティとなり、ドラマ出演者や主題歌を歌うアーティストがゲストとして出演する作りになっている。
「副音声はこれまでも何度もトライしました。副音声で聞く方は、ドラマの本編を注意深く観ている人ではない。注意深くドラマを観たい方は、副音声では聞かない。だからこそあえて副音声で聞いてくれる方には、話す内容やあきさせない企画にしないといけない、ということを過去の経験から得ました。そこで企画したのが『五十嵐のスウィートルーム』です」(草ヶ谷氏)

 本編にほとんど触れないトークが受けているが、それも制作サイドの狙いだ。
「副音声は、ラジオを聞いてもらうような感覚で楽しんでもらいたい。あくまでメインは副音声で、作り手としても主音声での本編は一切無視しています。その背景にも、昨今の多様化したドラマの観られ方が大きいです」(草ヶ谷氏)

主音声をオフに…副音声で音楽を被せる斬新な手法

 初回ゲストは主題歌を担当するOfficial髭男dismが出演し、生演奏を披露。主音声をかき消すぐらいの斬新な副音声が話題となった。それも制作サイドが意図的に実施したという。
「オーディオコメンタリーは、なんとなく主音声が流れるなか、副音声で解説が聞こえる、それが通常だと思われていますが、本来何の決まりもない。初回ゲストは、主題歌を歌うOfficial髭男dismですが、副音声ではあまり類をみない生歌唱を取り入れました。副音声では音が噛み合うどころか、主音声をオフにしています。それは、わざわざ副音声で聞いていただけるなら、100%楽しんでもらいたい、何度でも楽しんでもらいたい、という制作の思いからです」(草ヶ谷氏)

 第9話『スポーツ』編には、東出昌大、小日向文世と共に副音声企画に主演の長澤まさみが登場。お客さんを招いての公開収録が行われるなど、“副音声”の新たなコンテンツとしての可能性を示した同ドラマ。最終回ではどんな仕掛けがあるのか、本編だけでなく、副音声にも注目したい。

提供元: コンフィデンス

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