IMAGICA大林克己社長、創業100周年に向けてグループ再編

1935年に極東現像所として京都太秦で創業したIMAGICAは、来たる2035年に迎える100周年に向けて新たな一歩を踏み出している。IMAGICAグループ再編なども含め、その新体制を推し進めているのが、この4月から新社長に就任した大林克己氏だ。日進月歩で技術が進歩していく映像業界のなかで、IMAGICAがこれから進むべき道はどこにあるのか。大林社長に話を聞いた。

新技術をいち早く先取りしてチャンレンジすることが大切

――4月に新社長に就任されました。3ヶ月間の手応えはいかがですか?
大林IMAGICAは歴史のある会社なので、その重みをひしひしと感じています。お客さまと話していても「映像で困ったことがあればIMAGICAに相談すれば心配ない」とおっしゃっていただき、弊社に対する期待や信頼を実感しました。また、多くの社員とも話をしましたが、やはり映像に対する熱い思いや、新しいことにチャレンジしたいという意欲を持った社員がたくさんいることを、改めて実感しました。

――1935年に創業したIMAGICAですが、大林さんが社長に就任され、創業100周年に向けた“新構想”をスタートさせたとうかがいました。
大林2035年になるので、まだまだ先の話なのですが、そのときに映像をめぐる環境がどうなっているかは誰もわからない。だから目先のことだけでなく、映像の将来について想像してみて、そのビジョンをみんなで共有し、そのなかで我々ができることは何なのかを考える。社員と経営側が一体となって進めていく、そういった趣旨のプロジェクトをスタートさせます(公式サイトにてグループ次世代メンバーによる座談会を公開予定)。
 まだ具体的なことは明言できない段階なのですが、これからも優良な映像コンテンツを生み出す力を弊社がサポートしていくことは間違いないですし、それは100周年を迎えるときでも変わらないはず。そのために時代とともに変化をしながら、いち早く新しい技術を先取りしていくチャレンジが大切だと思っています。弊社は1935年にフィルムの現像からスタートした会社です。近年、フィルムの仕事は少なくなってきておりますが、フィルムを現像、編集する技術とノウハウは積み重ねてきています。そういった技術の積み重ねが最先端の高精細映像のデジタルデータのカラーグレーディンに活かされるなど、過去から蓄積された技術と、先進的な技術の融合を提供できるのが、弊社の強みです。

7月7日よりオープンしたIMAGICAのアニメポスプロの新拠点「荻窪アニメーションハウス はなれ」

7月7日よりオープンしたIMAGICAのアニメポスプロの新拠点「荻窪アニメーションハウス はなれ」

――社長就任後、積極的に取り組んでいらっしゃることはありますか?
大林映像をめぐる世の中の変化が激しいので、それに対応し、決定するスピードを上げていく必要があります。イマジカ・ロボット ホールディングス(IRHD)には映像コンテンツ事業、映像制作サービス事業、メディア・ローカライゼーション事業、映像システム事業のグループがあり、それぞれの会社に足りないものを補いあいながら、より一体化した形でグループ会社全体の総力を強化し、そのためのシナジーを高めています。
 2015年に、世界37ヶ国でグローバルに展開する吹き替えや字幕制作のトップ企業・SDIメディアや、ポケモンなどを作っているアニメや映像の制作会社・OLMもIRHDのグループに入りました。そのなかで、弊社もこの4月から新たに、映像の企画から編集までできるコスモ・スペースと、CG映像のほかWEB事業を展開するIMAGICAイメージワークス、ライブ映像の制作・配信等を行うイマジカ・ライヴ、フィルム現像やアーカイブの保管、運用を行うIMAGICAウェストと、映像制作サービス事業グループとして今まで以上に強く連携していくことになりました。こうしたグループの再編により、映像制作において、編集だけでなく、撮影から中継まで、多岐にわたる映像関連のニーズに対して、弊社がワンストップでお応えできるよう、サービスをより強化していこうと考えています。

あらゆる映像業界のニーズにグループ連携を図って対応する

――映像編集へのニーズは昨今、ますます高まっているのではないでしょうか。
大林いま一番伸びているのはやはり動画配信サービスの分野ですね。ご存知のようにNetflixやHulu、Amazonビデオなど、配信事業社は多岐にわたってサービスを展開していますので、弊社も撮影から編集、エンコードまで、いろいろな部分に従事させていただいております。それから、音楽やスポーツなどライブ中継のニーズが高くなっています。技術的にいえば、HDR、4K、そしてその先にある8Kに対するお問い合わせも増えていますね。

――そういった新たなニーズに、グループのなかで強みを持つ会社が対応していくということでしょうか?
大林近年、BSやCSでもライブの映像配信のニーズが高いのですが、コスモ・スペースはそこに強みを持っているので、同じグループになることで映像事業としてのつながりを強化できることになりました。また、ライブ映像の制作、配信を行うイマジカ・ライヴでは、スポーツ中継に強みがあります。そういったあらゆる映像業界のニーズに合わせて、ワンストップ構造を構築していくために、会社の垣根を越えて、さらなるグループの連携を図っていけたらと思っています。こういう映像を作りたいというアイデアのご相談をいただければ、最初の企画の段階から、最後のアウトプットまで、あらゆるシーンでお手伝いすることができます。こうしたグループの連携を強めるため、IMAGICA社内でも新体制を整えました。映画、CMなどを手がける映像事業本部、テレビ全般を担当するテレビ事業本部、そして配信サービスなどデジタルネットワーク分野を担当するメディア事業本部という三部門が軸となります。

IMAGICAの先端技術開発チーム・IMLが公開した「360度VR立体映像と立体音響」を2Dとの比較で体験できるデモ映像

IMAGICAの先端技術開発チーム・IMLが公開した「360度VR立体映像と立体音響」を2Dとの比較で体験できるデモ映像

――基幹事業となるのは?
大林基幹ビジネスとしては、やはりポストプロダクション事業であることに変わりはありません。最近の成長分野としては、DCPやネットワーク配信といったメディア事業が伸びています。映像配信サービスでは、その映像制作自体は我々の基幹ビジネスであるポストプロダクション業務、高精細映像への変換や配信時の対応等についてはデジタルネットワーク業務といった形で、お客さまの求められるものに応じてさまざまな側面から事業をサポートしています。IMAGICAに頼めば、本来のポストプロダクションはもちろんのこと、エンコード、配信、ライブ映像、さらには字幕、吹き替え制作、海外配信のサポートも受けられる。つまり、事業分野を超えて映像のワンストップ構造が実現したわけです。
 さらに今後も進化する映像産業に対応すべく、技術統括室を設置しました。新たな技術研究、開発を行い、各事業本部と連携しながら、必要とされる新しい技術やサービスを提案していきます。3D映像と立体音響のVRを研究するイマーシブ・メディア・ラボがそのひとつですが、技術統括室の技術マーケティング部や映像事業本部のプロデュース部など、部署の垣根を超えてスタッフが集結し、密に連携を図っています。そのほか、AIの分野での映像と音声のはめ込みに関しても研究を進めていますが、今後は外部の研究機関やソフト会社と一緒に開発を行うことも増えていくのではないでしょうか。こうした流れが今後は重要になるので、より強化していきたいです。
 IMAGICAという会社の一般的なイメージはやはり“現像所”かと思いますが、実はつねに変化する映像業界においてさまざまな事業に対応してきました。とくに最近求められるのは、トータル的な映像アドバイスです。企画から最後のアウトプットまで、どういう行程で、どういったデータにどの技術を使えばいいのか、どう準備をすれば効率が良いかなど、トータルでコーディネートするサービスを強化しています。

――今後の新規展開についてはいかがでしょうか?アニメに関しては、ポスプロスタジオ「荻窪アニメーションハウス」に加えて新拠点「荻窪アニメーションハウス はなれ」もオープンしましたが、IMAGICAの重要なファクターになりますか?
大林そうですね。アニメは世界的にも非常に強いジャンルです。英語字幕や吹き替えを付け加えることで、ワールドワイドに展開できるので、事業の1つの要といえますね。また、VR、MRといった技術も成長分野の1つです。今後、今回のグループ再編成により、さらに必要となる技術等も出てくると思いますし、新たな開発分野も見えてくるかもしれません。IMAGICAとしてはそうした未来を捉え、現在の体制をさらに充実させていき、強い事業体を作ることが大切になると考えています。今後もつねにお客さまの声に応えられる体制を目指していきます。
(文:壬生智裕 写真:逢坂 聡)

提供元: コンフィデンス

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