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海外でも増加、創造拠点となる「シェアオフィス」の可能性

交流しやすいフリーのワークス ペース。このほか個室もある

交流しやすいフリーのワークス ペース。このほか個室もある

 4月末に開業した「渋谷キャスト」は、クリエイティブ産業の発展を資することを目的としたクリエイターのための複合施設。多目的スペースや共同住宅、事務所など、創作活動をアシストするさまざまな要素が詰まっているが、中でも同施設のエンジン役を担っているのが、シェアオフィス「co-lab渋谷キャスト」だ。手がけたのは、シェアオフィスの重要性に国内外でもいち早く着目した、田中陽明氏が代表を務める春蒔プロジェクト。同氏に施設の特長、またシェアオフィスの可能性について尋ねた。

企業・投資家とのマッチングや法務支援も充実

 「渋谷キャスト」は、クリエイターが集まり不揃いな中にも独自性を主張しながら調和を図り、さまざまなアウトプットを出していくというコンセプトが体現された建物。「co-lab渋谷キャスト」は、その1、2階に位置している。春蒔プロジェクトは、03年よりシェアオフィス「co-lab」事業を開始、現在は「co-lab渋谷キャスト」を含め都内7ヶ所で運営展開をしている。
  • 春蒔プロジェクト 代表取締役・田中陽明氏(クリエイティブ・ ディレクター/クリエイティブ・ ファシリテーター)

    春蒔プロジェクト 代表取締役・田中陽明氏(クリエイティブ・ ディレクター/クリエイティブ・ ファシリテーター)

 「『co-lab』は、クリエイターが1つの建物で交流しながら働くことで創造を生み、また時には1つの仕事を共に成し遂げることも射程に入れた仕事のプラットフォーム。施設の運営と企業等から依頼を受けたクリエイティブ業を成立させるためのディレクションも同時に行っています」(田中氏/以下同)

 「co-lab」の集大成的存在という「co-lab渋谷キャスト」の特長は、最先端の機能を有したMR工房や、施設の食堂であり、ワーキングスペース、イベント開催の機能なども備えたカフェの併設など。中でも今回特に注力したのは、起業や知財管理等の法務支援、投資家や企業とのマッチングなど、クリエイターが苦手としやすい分野のバックアップだ。
 「海外のクリエイターは、対価の面などでクライアントと対等にわたり合うことが比較的できていると思いますが、日本ではその教育が遅れているのか、どうしても弱者となる傾向が強い。私たちはそれを支援できないかと考え、クリエイターの活動の幅を拡げるためサポート機能を用意しました。こうした環境作りで、積極的なクリエイターも集まりやすくなっていますので、『何かコラボしてみたい』、『新たなアプローチを模索したい』などとお考えの企業様は、ぜひ当方までご依頼ください」

オフィスを保有しないことで、働き方の幅が広がる

  実際、「co-lab」はこれまでにもさまざまな“コラボ”を実現させてきた。13年には横浜市から受託して、横浜の地域産業リソースと地元クリエイターをマッチングして新しいビジネスを生み出していこうという「ビジネス・クリエイティブ・ヨコハマ」事業の運営、14年には保育園や児童館などの運営を行う神戸の社会福祉法人翠福祉会のWebサイトやユニホームなどを制作。そもそも、この「co-lab渋谷キャスト」自体もそうだ。「クリエイターの集積が建物全体をデザインする」をテーマに、メンバー同士でゼロから創り上げた。

 施設内には絵本『スイミー』がコンセプトの壁画が描かれているが、「ただ、この魚の集合体には目玉となる黒い魚がいません。中心があるわけではなく、全員が集合体として動いていく、同施設のコンセプトの表れにもなっています」と田中氏。

絵本の『スイミー』をコンセプ トにした壁画

絵本の『スイミー』をコンセプ トにした壁画

キッチンも完備。先日は「たこ焼 きパーティー」が行われたとか

キッチンも完備。先日は「たこ焼 きパーティー」が行われたとか

 同氏はシェアオフィスで働くメリットを、常に新しい情報や自身の知らないジャンルの情報が得られ、また新たな出会いによって、創造拠点として適していることを挙げる。

 「海外ではオフィスを保有しない企業・働き方が増えており、その波は日本にも徐々に押し寄せています。いずれこれは“スタバ化”し、企業が広いオフィスを持たず、社員が各コワーキングスペースで働く流れが一般的になる日も来るのではないかと考えます。育児や介護など、さまざまなフェーズに対応できれば、働き方の幅も大きく広がっていくでしょう」

 終身雇用神話が崩壊した昨今の日本では、1つのスキルだけでは時代に取り残され、いずれ会社のお荷物になってしまう……といった問題も指摘されているが、田中氏は「常に新たな情報に触れていれば、長年の経験が深さと広さを生むことに繋がる。シェアオフィスには、“高齢化社会”をも見据えた可能性があるように感じています」と期待を寄せている。

(文:衣輪晋一)

(『コンフィデンス』 17年6月12日号掲載)

提供元: コンフィデンス

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