成り上がり女性の模範的存在。トップに立つためなら人を蹴落し、権力者と寝ることも厭わない。同性からは蛇のように忌み嫌われるが、男性からは女王のように崇め奉られる。それも才色兼備であることを前提とする話なのだが……。
ダイアナ・ロスの態度のデカさは、その子供時代から有名なものだった。しかし、ルックスの良さと男をトロけさせる甘〜いヴォイスを武器に、スプリームスはUSポップス界のトップにまで昇りつめ、彼女自身もセックス・シンボルとして祭り上げられる。そして<MOTOWN>の総帥ベリー・ゴーディに取り入り、グループの同僚に見切りをつけ、ソロ・デビュー。「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」(70年)をヒット・チャート1位に叩き込んだ。また映画界にも進出し、ソウル・シンガーからポップ・スターへの道を歩み始める。そんななか、傑作『ダイアナ』(80年)をリリース。ナイル・ロジャースをプロデュースに迎え、シックが全面的にバック・アップしたこのアルバムでダイアナ・ロスは、ディスコとファンクの中庸をいくグルーヴィなサウンドを展開。それらのトラックは彼女のクロさの薄いヴォーカルと絶妙なマッチングを見せ、結果、誰もが歌って踊れる軽妙な作品に仕上がった。
最近では、ジャズ・シンガー的なアプローチをみせるダイアナ・ロス。彼女は今もなお、US芸能界の首領(ドン)として君臨し続けている。