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【世界を旅するネコ:前編】訪れた国、なんと37ヵ国! 猫と行く海外旅行の秘訣とは?

パリ=シャルル・ド・ゴール空港(フランス)2013

ペットを飼っている人が海外旅行に出かける場合、そのペットは身内や知り合い、ペットホテルに預けていくしかない……と思っている人は多いはず。でも実は、訪れる国や利用する航空会社によっては、日本国内を旅するときよりも簡単・快適に、ペットを連れて旅をすることができてしまうのです。今回は、愛猫ノロとこれまでに37ヵ国もの国々を旅してきて、その記録をまとめた書籍『世界を旅するネコ クロネコノロの飛行機便、37ヵ国へ』を刊行された平松謙三さんに、ペットと海外を旅するためのノウハウとそうした旅ならではの楽しみ方について、お話をうかがいました。

アヴィニョン(フランス)2015 右の男性が平松謙三さん

――平松さんが猫のノロを飼いはじめた、そもそものきっかけは?

平松謙三さん(以下平松):以前東京に住んでいたとき、仕事場の隣の店のお客さんが、里親探しをしていたんです。なんでも近所のラーメン屋さんが保護している捨て猫だそうで……。ちょうどその子猫を連れてきたときに見せてもらって、じゃあうちで飼おう、と。

――平松さん、実はその当時は猫が嫌いだったそうですね(笑)。

平松:嫌いだったですね(笑)。というのも、僕は当時、文鳥も飼っていたんですよ。小学校低学年のころからほぼずっと、鳥を飼っていたので。

――その猫が嫌いという感覚を上回るかわいさが、ノロにはあったわけですか。

平松:ありましたね。もう、1日でやられましたね。僕に好かれようとして一生懸命、いじらしく、かわいくふるまっているようにも見えましたし。

――そうして飼いはじめたノロを、どうして海外旅行に連れて行こうと思うようになったんですか?

平松:僕も当初は、連れて行けるとは思っていなかったんですよ。旅に出る時は友人かペットホテルに預けなければならないのかな、と。ただ、そのころに出会った『アッシュと歩いたヨーロッパ』(坂本徹也著、主婦の友社)という本に、犬と一緒にヨーロッパを旅するのに必要なノウハウがいろいろ書かれていたんです。まず、制度的にペットを連れて海外旅行に行けるという事実をわからせてくれたのが、その本でした。犬にできるなら、ノロにもできるだろう、いけるじゃん、と。

ギザ(エジプト) 2010

――猫という動物はどっちかというと、旅の移動や環境の変化に対して適応しづらいのでは、という印象があるのですが。

平松:もともと、ノロを連れての国内での移動は、車や新幹線でできるようにしていたんですよ。当時の仕事は車移動が多かったですし、実家の岡山まで帰省するときにも連れて行っていて、その際に首輪やリードをつけることもしていました。そういう移動にノロはすっかり慣れていて、旅に対する適性があることはわかっていたんです。

――具体的に、犬や猫などのペットを連れて海外旅行に行くには、国内でどんな準備をする必要があるんですか?

平松:最初に旅に行ったときと今とでは、少し制度が変わっていますが、大きく分けて3種類の準備が必要です。1つめは猫の準備、2つめは出国のための書類の準備、それから帰国のための書類の準備になります。

まず猫の準備として、個体識別のためのマイクロチップを獣医さんで埋め込んでもらいます。次に、狂犬病の予防接種を都合2回。その上で、神奈川県にある生物科学安全研究所というところに血清を送って、狂犬病の予防接種で抗体ができていることを数値的に示した証明書を作ってもらいます。ここまでが猫の準備です。

続いて出国のための情報登録を行います。これはオンラインでできます。あわせて渡航先の国への入国に必要な書類も作成し、猫の準備で入手したマイクロチップの埋め込み証明書類、2回分の狂犬病予防接種証明書類、狂犬病抗体検査証明書などとともに裏書き証明をしてもらいます。これらの書類は旅の間、常に持ち歩いています。

最後に、帰国のための準備として「輸入の届出」を行います。これもオンラインでできますが、帰国予定の日から遡って40日前までに行う必要があります。僕らの旅は毎回3週間〜1ヵ月程度なので、出発前にこの届出まですませておかなければなりません。

――海外から日本に帰国するときには?

平松:最終滞在国の獣医さんにノロを診てもらって「この猫は健康です」と証明する診断書を作ってもらい、それに現地の役所で裏書をしてもらう必要があります。

ガムラスタン(スウェーデン)2016

――土地勘のない海外でそういう書類を揃えるのは、ちょっと大変そうですね。

平松:たしかに、それがいちばんのハードルですが……僕は最近、これをマニアックに楽しんでおりまして(笑)。数々のトラブルを「ほほう、こう来たか」とか「ついにラスボス!」などと、ゲーム感覚で楽しんでいます。でも、最近はそうした手続きもかなり楽になりました。メールやスマートフォンのメッセージ機能を使って、役所の人とやりとりしてアポを取りやすくなったので。昔はファクスでやりとりしてましたから。あとは、現地の日本領事館などに相談して獣医さんを紹介してもらうとかすると、かなり楽になると思います。

――なるほど。そうした手配も昔よりは簡単になっているんですね。

平松:こうした行き帰りに必要な主な準備は、それぞれいつまでにやらなければならない、というタイムリミットが決まっているので、それらに間に合うように滞りなく準備を進めておく必要はあります。日本国内にずっといた猫が初めて海外旅行に行く場合、2、3ヵ月前から準備をしておけば間に合います。

――平松さんがこれまでノロと旅しているのは主にヨーロッパですが、ヨーロッパ以外の地域の国々はどうなんでしょう?

平松:アジアは僕も行きたくていろいろ調べたんですが、ペット連れはちょっと難しいです。香港や台湾でさえ難しい。制度的には行くことはできるんですが、泊まれるホテルがほとんどない……。あと、島国はどこもルールが厳しいですね。

ヘルシンキ・ヴァンター国際空港(フィンランド)2016

――飛行機に乗るとき、ノロは機内持ち込み扱いなんですね。

平松:航空会社にもよりますが、ヨーロッパの航空会社では、ケージ込みの重量が8キロ以下だったら、ペットも機内持ち込みが標準的な扱いです。貨物室に預ける必要はありません。楽器を持ち込むのと同じような感覚ですね。だから、機内持ち込みにあたって過度に恐縮したり遠慮したりする必要はないですよ。

――機内でも、猫は平気で過ごせるものなんですか?

平松:それは猫によると思います。ノロはほんとに楽ですね。僕らがいればそこは安心していい場所だと認識してくれているので。よく寝てくれるので助かりますし、起きている時に退屈しはじめたら、窓の外を見せたり、キャビンアテンダントによっては、後ろのギャレーに行って散歩をさせてくれることも。ヨーロッパの航空会社は、その辺もとても寛容です。ノロ自身も「自分は今、飛行機に乗っている」ということをわかっているんですよね。これからしばらくは自由が利かなくなるから、寝に入る。いい意味であきらめが早くて、状況を把握して自分がいちばんストレスを感じない過ごし方を見つけるのが、ノロはうまいんだと思います。

来週掲載予定の後編では、異国の地でノロと平松さんがどんなふうにして旅を楽しんでいるのか、引き続きお話をうかがっていきます。

【世界を旅するネコ:後編】

◎平松謙三 Kenzo Hiramatsu 1969年岡山県生まれ。2002年から現在まで、黒猫のノロと37カ国を旅し、世界の美しい風景とノロを写真に収め、書籍やカレンダーなどを通じて発表している。ふだんは八ヶ岳南麓の山小屋に暮らし、フリーでグラフィックデザイン、Webディレクションなどの活動をしている。趣味は自転車と薪作り。デイリー宝島社オンラインtreasures(トレジャーズ)にて「世界を旅するネコ 番外編なノダ!」隔週日曜連載中。

『世界を旅するネコ クロネコノロの飛行機便、37ヵ国へ』 宝島社 1300円+税 著者サイト/Amazon

◎聞き手=山本高樹 Takaki Yamamoto 著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。 http://ymtk.jp/ladakh/

提供元:BE-PAL

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